語りが拓く地平: ライフストーリーの新展開

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山田富秋, 好井裕明
せりか書房, 2013 - Reference - 266 pages
ライフストーリー研究は、今日の質的研究の花形として注目を集めている。しかし実際にフィールドに出かけ、インタビューを行い、トランスクリプトを作り、対象者の語った「あのとき・あそこ」で起こった物語世界を理解しようとする時、難問に突き当たる。語られた物語は「いま・ここ」のインタビューという相互行為の分析から、すべて理解できるものなのだろうか。もしそうだとしたら、聞き手として、語り手の物語世界に立ち会う時の共感を伴った追体験をどのように説明したら良いのだろう。一言でいえばそれは、ライフストーリーに対する構築主義的なアプローチとリアリズムとの対立である。本書に収められた論文はどれも、この問題と正面から向き合い、抽象的に解決するのではなく、それぞれのフィールドとの粘り強い対話を通して、問題の深化を図ろうとする。

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