物理学入門

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学術図書出版社, Oct 31, 2015 - Literary Collections - 271 pages
物理学は自然科学の中でもっとも基礎的な学問のひとつなので,高度の科学技術に基づく現代社会で活躍するには,物理学の基礎知識および物理学的なものの見方と考え方を身につけることが不可欠である.本書は,高校で物理を選択しなかった学生諸君および物理を履修したが理解が不十分な学生諸君のために,内容を精選し,表現を工夫した,物理学の教科書である.
数式の使用を最小限にして,グラフ,図,日常体験する例などを多用して物理学を直観的に理解できるよう最大限の努力を払い,物理学を理解するとともに,日常体験する身のまわりの現象を科学的に考え,理解する能力と数理的処理能力を養えるよう配慮した.
本書の特徴は,
(1) 各章の最初に各章のあらましを説明し,各節の最初にその節の学習目標を具体的に示した.そして,各章のおわりにその章で学んだ重要事項を示し,その章の学習目標が達成されたかどうかを確認できるよう配慮した.
(2) 物理現象を特徴づける概念である物理量および物理量の関係を表す法則を丁寧に説明した.
(3) 例と例題を適切に使って,物理量の理解および物理法則の適用法の理解を助けるようにした.
(4) 三角関数,ラジアン,ベクトル積,微積分の知識は前提とせず,グラフ表現を多用し,数学的な困難のために物理学の理解が妨げられないように配慮した.
(5) 各章の最後に多くの演習問題(Aは比較的やさしく,Bは比較的難しい)と巻末にその詳しい解答を付して,各章の理解が深まるようにした,
(6) 臨床工学技士国家試験の過去問から物理学の問題を借用し,どのような形で物理学の基礎知識が問われているのかを知ることができるよう配慮した.
ことなどである.
本書を使用して,物理学の学習に真剣に取り組めば,技術者を志す学生諸君が将来必要になる物理学の基礎知識およびその応用に必要な物理学的なものの見方と考え方を身につけられるはずである.
この教科書による学習では,まずテキストを繰り返し読んで,内容を自分が理解できる言葉に翻訳した上で理解し,物理学の基礎知識と物理学の手法を身に付けてほしい.演習問題を解くことも重要である.疑問が生じた場合には,疑問点を明確にし,良く考え,それでもわからなければ先生や友人に質問して疑問を解決する習慣をつけてほしい.

本書の印刷はフルカラーであり,写真を大幅に取り入れた.高校までカラー印刷の教科書を使用してきた学生諸君にとってフルカラーの紙面は,親しみやすく,取り付きやすいのではなかろうか.
本書では,内容をわかり易くするために,次のように色を使用した.
1. 位置,力,速度,加速度などをそれぞれ別の色の矢印で表す.
2. 重要な結論や定義などは青色で印刷する.
3. 重要な式は黄色で印刷する.
このような色の利用で,めりはりの効いた,学びやすい紙面になったとすれば幸いである.
また,読者が親しみをもてるよう多くのカラー写真を掲載した.

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About the author (2015)

原康夫 1934年神奈川県鎌倉にて出生 1957年東京大学理学部物理学科卒業 1962年東京大学大学院修了(理学博士) 1962年東京教育大学理学部助手 1966年東京教育大学理学部助教授 1975年筑波大学物理学系教授 1997年帝京平成大学教授 2004年工学院大学エクステンションセンター客員教授この間,カリフォルニア工科大学研究員, シカゴ大学研究員,プリンストン高級研究所員. 1977年仁科記念賞受賞現在筑波大学名誉教授

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