黄金比はすべてを美しくするか?: 最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語

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早川書房, 2005 - Literary Collections - 346 pages
古来、四角形の形について、縦と横の辺の長さの比率が1:1.618...となるものが最も「美しい」とされ、特にこの四角形は「黄金四角形」、そしてこの1:1.618...という、無限小数を用いて表される比率は「黄金比」と呼ばれてきた。美術史の定説によれば、古典ギリシャの壮麗なパルテノン神殿をはじめ、古代からのさまざまな芸術作品にこれが取り入れられている、という。実はこの比率は、幾何学の基礎をつくったユークリッドにまでさかのぼる、数学者が古くから注目してきた「数」でもあった。時代が下るとともに、この黄金比が思いもかけないあちこちの数学分野で見つかるようになったばかりか、オウムガイの殻のできかたやひまわりの種の配列といった、自然の事物にまで隠れているのが知られるに及び、黄金比はその神秘をいやました。黄金比は音楽や文学作品、はては株価推移のグラフをも支配するとさえ言う者も現れた...しかし、これらの「黄金比伝説」はどこまで本当なのだろうか?著者は、黄金比が用いられていると言われてきた芸術作品を再検討し、黄金比伝説のどこまでが妥当であるかをさまざまな分野にわたり丹念に調べあげる。さらに、真の意味で黄金比に取り憑かれたというべき知られざる人物を紹介しながら、黄金比が持つ本当の魅力と面白さとを解き語っていく。あまたの芸術家と科学者をとりこにしてきた、神出鬼没な数についてあますところなく描く、決定版「黄金比」読本。国際ピタゴラス賞、ペアノ賞受賞。

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