飢餓の娘

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集英社, 2004 - 399 pages
少女「六六(リュウリュウ)」には出生の謎があった。大飢饉の直後に生まれ、凄惨なスラム街に育ち、あたかも生まれながらの飢餓の魂をかかえた娘だった。18歳の誕生日が間近かに迫った1980年から物語が始まる。彼女の家は重慶のスラム街にあり、狭い部屋に父母と6人の姉妹兄弟がひしめき合って暮らしていた。末っ子の「六六」は、しばしば余計者、邪魔者として邪険に扱われてきた。家族が住む凄惨なスラム街の様子、作者自身の生身の痛切な体験―影のようにつきまとう男の気配、自らの出生の秘密、恋。人間としとての尊厳を求めてこの町から絶対に抜け出す決意をしたときに運命的に出会う「詩」と才能の目覚め...。飢餓の魂は救われるのか?深い感動とともに読者の魂も癒されていく。

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