ミヤモトムサシゴリンノショノテツガク

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岩波書店, Mar 20, 2003 - Reference - 179 pages
『五輪書』は戦国時代の百年を経ての近世初頭に屹立する難読の書として知られる。しかし、今、なぜ宮本武蔵を論ずるのか。「大きなる兵法」者の戦いの場で「勝ち」を収めることが、我々の日々の「常の身」の処し方とどのように繋がるのか。新陰流の屈指の剣の使い手にして現代思想の論客たる著者は、『五輪書』のことばと表現にぴたりと寄り添い、この世界を平明に自在に読み解き、武蔵の「工夫」を現代に樹ててゆく。そして、武蔵の思想が懐に孕む、せめぎ合うアポリアの場をプラグマティズムの哲学の地平に据え、「物事の景気」「実践」「道具」などのキーワードをてこに、この「実の道を行く」哲学を先鋭に論じる。

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