中東政治学

前表紙
酒井啓子
有斐閣, 2012 - 280 ページ
2010年12月、チュニジアで一人の露天商が焼身自殺を図った。この事件をきっかけに起こった反政府デモは、瞬く間に広がり、時の大統領を亡命にまで追いやった。その波は、エジプトをはじめとしたアラブ諸国全体に及び、いまなお動乱が続いている。このような稀有な政治変動の機会を迎えて、中東政治研究はいま、大きな試練と飛躍の可能性に直面している。本書は、中東諸国で起こっている現象を、政治学の枠組みを用いるとどう分析できるのかを示したものである。特に、従来の比較政治学では必ずしも十分に議論されてこなかった、公的制度と非公的制度の関係(第1部)、宗派・部族といった伝統的社会紐帯(第2部)、政治制度外で展開される社会運動(第3部)、アイデンティティや運動の越境性と国際政治(第4部)について、中東の事例を通して、説明する。

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