「太平記読み」の時代: 近世政治思想史の構想

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平凡社, 1999 - Japan - 350 pages
江戸前期、民衆相手の『太平記』講釈が爆発的に流行する以前、大名や武士相手に講釈する「太平記読み」たちがいた。その講義のタネ本は『太平記評判秘伝理尽鈔』。『太平記』の描く人物や事件を論評し、膨大な別伝を付け加えたこの本は、楠正成を理想の為政者=仁君として描き出す政道の書でもあった。そしてそれは、戦国武将から藩の為政者へと変身を余儀なくされた大名たちに幕藩体制確立のマニュアルを伝授し、思想家たちに、こぞって楠正成を持ち上げさせるほどの決定的な影響を与え、版行されるや、口承の伝達回路をも稼働させて、民衆の「修身斉家」のための強力な指針へと読み替えられる。つまり『理尽鈔』は、この時代・社会の政治に関する共通認識を形作ったのである。江戸の政治思想の基軸は、朱子学などではない。「太平記読み」の思想こそが江戸の秩序の根幹である!―従来の思想史、近世史の通念を一新する、大胆かつ綿密な画期的論考。

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