ブラック・アテナ: 古代ギリシア文明のアフロ・アジア的ルーツ, Volume 1

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新評論, 2007 - 670 pages
歴史学と知識の社会学を駆使し「世界史」の通念を問い直す全世界衝撃の書、待望の邦訳!

『ブラック・アテナ』という書名は、ギリシアの女神アテナがアフリカ系人種の血を受け肌の色が黒かったのではないかという著者の想定を表したものである。
本書『ブラック・アテナ』第 I巻(1987年刊)は、著者バナールが歴史学と知識の社会学という2つの手法を駆使して、今日まで私たちが「世界史」の通念として教えられて来た「アーリア・モデル」(*)を、近代ヨーロッパにおけるヨーロッパ中心主義による「古代ギリシアの捏造」であると主張したものである(第3章から第10章まで)。本書でも指摘されているように、実は古代ギリシアの歴史家や哲学者自身がエジプトとフェニキアの古代ギリシア成立への貢献を認めていた(第1章・第2章)。
本書第 I巻の発刊は世界中の論壇に衝撃を与えた。第一は、1996年に刊行された『ブラック・アテナ再考』である。この書では古代ギリシア研究の専門家19人が動員され、バナールの主張はすべて採るに足りないものと手厳しく批判した。バナールはこれに対し、大冊『ブラック・アテナは反論する』を2001年に公にした。その間にも両者の主張を大学における学問の有り様としてまとめた『大学における異端』が1999年に刊行されている。こうして「ブラック・アテナ論争」が世界を駆け巡ることとなる。
一方、アメリカのデュボイスや西アフリカのシェック・アンタ・ディォプがこれまでにも主張してきた白人優越主義思想を非とする人種差別論争にも火を注ぐこととなった。いずれも議論はまだ始まったばかりである。さて教科書『世界史B』で教えられて来た古代ギリシア史の通念を、私たち日本人は、近代化の歴史も含め、どのように問い直すべきであろうか。

(*)「アーリア・モデル」とは、古代ギリシアの文化文明のルーツをインド・ヨーロッパ語族(アーリア人)に求めるヨーロッパ中心史観。これに対しバナールは、本書で「修正古代モデル」説を唱え、古代ギリシアはエジプト人やフェニキア人をはじめとする非インド・ヨーロッパ語族を中心とした混成文化文明によって発展したと主張、「ブラック・アテナ論争」の始まりとなる。

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About the author (2007)

Martin BERNAL(マーティン・バナール)
ロンドン生まれ。
英米で学業を積んだ後、長く米コーネル大学で中国史・近東学などの教授を務める。
著書『黒いアテナ? II.考古学と文書にみる証拠』(上・下、藤原書店)は本書の第 II巻。

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