鍛え造る: 秋山実写真集

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みすず書房, 2022 - Carpentry - 248 pages
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「大工道具は歴史を有する。作った人の歴史、使った人の歴史、そして太古より受け継がれ、伝統の中で育まれてきた技術の歴史を身にまとう。
道具鍛冶はすぐれた切削性能を追い求めて槌を振るい、鋼を鍛えた。大工たちは思いどおりの工作を実現するために台や柄を自分で作り、調整し、刃先を研磨する。尋常ではない手間をかけて、過去の名工、名人にひけをとらぬよう、ありったけの技と思いを道具に注ぎこむ。
写真家、秋山実の当てる抑制された光に、道具の輪郭と鉄肌が、鍛冶屋の槌跡や成形のヤスリ目が、大工に使い込まれて艶めく台や柄、使い減って変形しつつある刃が、静かに反射する。うるさい演出を極力排し、静かで熱をおびない、輪郭のはっきりしたその写真は、すこし冷たいとさえ感じられる。しかし、人間が使う道具の真実は、その冷たさや異物感にあろう。上手な職人ほど、手の延長ではあっても手そのものではない道具の異物感をこまやかに感知しつつ、仕事をするのだから」(土田昇)

刀工から大工道具鍛冶へ転身した鍛冶名工、千代鶴是秀の幻の傑作、鎬大突鑿「神嶺」はじめ、古くは鎌倉・室町から平成に至るゆたかな鍛冶文化の系譜。半世紀余にわたり貴重な大工道具名品を撮ってきた写真家、秋山実による初の集大成、全222点。

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About the author (2022)

1930年生。青山学院大学文学部英米文学科卒業。桑沢デザイン研究所リビングデザイン研究科(写真)卒業。大辻清司、北代省三に師事。1965年より工業写真家として独立し、建築写真、大工道具名品の撮影に加え、顕微鏡写真をコマーシャルに使うという新分野を開拓。 写真集『ミクロのデザイン――形と色彩の創造』(学習研究社、1986)、『ミクロ・アート』(河出書房新社、1992)、『ミクロ・コスモス』(河出書房新社、2003)、『マイクロスコープ――浜野コレクションに見る顕微鏡の歩み』(オーム社、2012)。共著『日本の伝統工具』(鹿島出版会、1989)、『西岡常一と語る木の家は三百年』(農村漁村文化協会、1995)、『千代鶴是秀――日本の手道具文化を体現する鍛冶の作品と生涯』『千代鶴是秀写真集12』(いずれもワールドフォトプレス、2006、2007、2008)、『民家の再生 II』(建築資料研究社、2014)、『写真家・秋山実による降幡廣信の世界』(建築資料研究社、2019)。DVD『リキッド・クリスタル』(ポニーキャニオン、2004)。

(つちだ・のぼる) 1962年生。土田刃物店三代目店主。父・土田一郎より引き継いだ千代鶴是秀作品の研究家であり、木工手道具全般の目立て、研ぎ、すげ込み等を行う技術者でもある。 著書『時間と刃物――職人と手道具との対話』(芸術新聞社、2015)、『職人の近代――道具鍛冶千代鶴是秀の変容』、『刃物たるべく――職人の昭和』(ともにみすず書房、2017、2020)。共著『「室内」の52年――山本夏彦が残したもの』(INAX出版、2006)『千代鶴是秀――日本の手道具文化を体現する鍛冶の作品と生涯』『千代鶴是秀写真集12』(いずれもワールドフォトプレス、2006、2007、2008)、『鉋大全』『鑿大全』『鋸・墨壺大全』『大工道具・砥石と研ぎの技法』『鉋の技と銘品大全』『大工道具鍛冶大全』(いずれも誠文堂新光社、2009、2010、2011、2011、2013、2016)、『巧拙無二――近代職人の道徳と美意識』(剣筆舎、2020)。

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