ミクロ・エコノミックス

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九州大学出版会, 1999 - 201 pages
従来、標準的なミクロ・エコノミックスの守備範囲は、完全競争市場を想定したうえで、効用を最大化する消費者行動と利潤を最大化する生産者行動の分析から得られる需要・供給曲線の導出にはじまり、需給均衡分析と安定性にかかわる諸仮説の検討で終わるという体裁をとっていた。そのさい、たとえば、競争市場の需給均衡がもたらす生産要素ないしは消費の資源配分効率性分析は、より高度な分析領域に属するものとみなされていた。ところが、経済学においても、最初は高度とおもわれた内容が、ごく簡単な叙述によっても、その本質を示しうることが確認されるようになってきており、テキストの標準は一変しつつある。同様なことが、不完全競争市場分析についてもいえる。現在では、個別の研究テーマの分析深度の追求とともに、他の分析領域との関連性を重視する必要性が感じられている。このような方向性のなかで、本書には、最近の研究成果が取り入れられている。この他、不完全競争市場分析においては、情報偏在性のもたらす影響をめぐる研究が着実な学問成果をもたらしている。たとえば保険市場における逆選抜現象の発生可能性と、その後に展開されるであろうモラル・ハザードの問題、また、一物多価が起こりうる背景などが理論的かつ整合的に解明されつつある。本書には、これらの研究成果をとりいれており、それが一つの特徴となっている。そのような最近の学問上の諸成果を、従来型のミクロ・エコノミックスにうまく統合させることが本書の主要な目的である。

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