奈良絵本, 第 1 巻京都書院, 1997 - 255 ページ 室町時代半ば頃から江戸時代の前半にかけて、お伽草子などの物語に挿絵をつけた絵入写本が多く作られた。冊子や絵巻も含めて「奈良絵本」と呼ばれるものである。物語の内容を補うための、素朴な温もりのある画風のものにはじまった「奈良絵本」は、やがて、プロの絵師による、金彩を施し細密華麗な筆致で描かれた装飾的なものをも生み出していく。登場人物が生き生きと描かれた躍動感溢れる作品から、類型的な画風に雅びな時代への憧憬がみられる作品など、その形式は幅広い。本書では未発表作も含めた十作品十四篇を収録。物語のストーリーとともに、奈良絵本の魅力を紹介する。 |