技術とは何だろうか: 三つの講演

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講談社, 2019 - 176 pages
20世紀最大の哲学者マルティン・ハイデガーが第二次大戦後に行った「技術」をめぐる三つの講演。瓶(かめ)や橋、家屋といった身近な物から出発し、それらの物がどのようなあり方をしているのかを考え、ついには「世界」に到達する講演「物」と「建てること、住むこと、考えること」、そしてモノとヒトを資源として用いながら膨張を続ける現代技術のシステムを問う「技術とは何だろうか」。第一級の研究者による決定版新訳!


本書は、20世紀最大の哲学者マルティン・ハイデガー(1889-1976年)が、第二次大戦後の1950年代に行った「技術」をめぐる代表的な三つの講演を新訳で収録するものである。
1950年6月にミュンヘンで行われた「物(Das Ding)」と1951年8月にダルムシュタットで行われた「建てること、住むこと、考えること(Bauen Wohnen Denken)」は、一対をなす講演になっている。ここでは人間によって作られ、いたわられる物のあり方が取り上げられるが、「物」では瓶(かめ)という身近な道具に即して、「建てること、住むこと、考えること」では橋や家屋といった建物に即して論じられているのが印象的である。そうした身近で具体的な存在者から出発して、徐々に話を展開し、最終的には世界に達する、という『存在と時間』(1927年)にもすでに見られる、ハイデガーの面目躍如と言うべきスリリングな展開を存分に味わうことができる。そうして、具体的な物に凝縮して浮かび上がる「世界」が、天・地・神・人から成る「四方界」として描き出される。
そして、1953年11月にミュンヘンで行われた「技術とは何だろうか(Die Frage nach der Technik)」は、そのような物と世界の応答関係と対照される形で、モノとヒトのいっさいをひとしなみに物的および人的資源として徴用しながら地球規模での膨張を続ける現代技術のシステムが論じられる。そのシステムは「総かり立て体制」と名づけられ、その歴史的運命からの「救い」が遠望されるに至る。
大小さまざまな技術の産物に囲まれて生きる現代人にとって、これらの講演で扱われる問題は無関係でないどころか、ますますその切実さを増している。第一級の研究者が作品を選定し、情熱をもって作り上げた新訳の講演は、本書の順序で読み進むことで初めて、ハイデガー技術論の全貌があらわにすることだろう。

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About the author (2019)

1889-1976年。20世紀を代表するドイツの哲学者。現象学から出発して独自の存在論哲学を展開した。代表作は『存在と時間』(1927年)、『カントと形而上学の問題』(1929年)、『講演と論文』(1954年)、『ニーチェ』(1961年)など。

1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、東北大学教授。専門は、現象学・哲学。訳書に、ハンナ・アーレント『活動的生』、フリードリヒ・ニーチェ『愉しい学問』ほか。

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