芥川龍之介全集, Volume 1岩波書店, 1977 - Japanese essays |
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... 来るのなら足跡はのこる筈ですからね。――それはさうです。別に之と云つて名案もありませんが兎に角その男が来るのは事實なのでせう。まるで嘘のやうな話です。併し何しろこれだけの事が其不思議な忍び男に關する唯一の知識なのですからね、何とか之から豫 ...
... 来るのなら足跡はのこる筈ですからね。――それはさうです。別に之と云つて名案もありませんが兎に角その男が来るのは事實なのでせう。まるで嘘のやうな話です。併し何しろこれだけの事が其不思議な忍び男に關する唯一の知識なのですからね、何とか之から豫 ...
Page 62
... くる。反對の方向から黒い覆面をした男が来る。うす暗らがり。なる。騒擾。女はみな悲鳴をあげてにげる。兵卒は足跡をたづねて、共處此處を追ひまはる。灯が消えて舞臺が暗く逃がすな。逃がすな。そら、そこへ逃げた。――こゝにもある。――こゝに足あとが ...
... くる。反對の方向から黒い覆面をした男が来る。うす暗らがり。なる。騒擾。女はみな悲鳴をあげてにげる。兵卒は足跡をたづねて、共處此處を追ひまはる。灯が消えて舞臺が暗く逃がすな。逃がすな。そら、そこへ逃げた。――こゝにもある。――こゝに足あとが ...
Page 179
... 来る。しかも、氣のせるか、その酒香が、一分毎に、益々高くな来るやうな心もちさへする。劉は、せめて、瓶だけでも見ようと思つて、眼をあけた。上眼を使つて見ると、瓶の口と、鷹揚にふくれた胴の半分ばかりが、眼にはいる。眼にはいるのは、それだけで ...
... 来る。しかも、氣のせるか、その酒香が、一分毎に、益々高くな来るやうな心もちさへする。劉は、せめて、瓶だけでも見ようと思つて、眼をあけた。上眼を使つて見ると、瓶の口と、鷹揚にふくれた胴の半分ばかりが、眼にはいる。眼にはいるのは、それだけで ...
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Common terms and phrases
あつ あの あらう いて うし うと うな うに エチオピア お前 クラリモンド ございます しま しまふ じゃう しゅ すると せんせい そこで それから それは だから だけ たち たと たり つてゐる でも てゐ どう とか とし とも なかっ ながら なつ なら なり なる にし ばかり バルキス バルタザアル フランシス ぶん まし ませ まだ まで もう やう やつ よく より らしい んで 悪魔 一人 芋粥 煙管 煙草 芥川 芥川龍之介 岐阜提灯 久米正雄 見え 見る 江口渙 沙金 思ひ 思ふ 持つ 自分 修理 出来 初出 女王 小説 心もち 人間 水干 青侍 全集 僧侶 太刀 大正 致し 通り 渡し船 銅鑼 勿論 羅生門 来る 利仁 立つ 宦官