異常と正常: 精神医学の周辺

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東京大学出版会, May 24, 2000 - Psychiatry - 299 pages
精神科医療が一見急速に、かつ激烈に他の医療の分野に比べて矛盾を露呈して世論の注目を浴びるようになったのにはさまざまな原因があるが、その原因の一つは、精神科医療の対象である精神障害が、その特徴として社会的性質を強くおびているということであろう。歴史において精神障害はこの特徴の故に、社会から疎外される運命をもったし、人間の自由を謳う現代社会もまたその例外ではない。非人間的な現代の「精神病棟」はその象徴であろう。現代社会の仕組みの中で精神障害者の病気からの解放を実現する道はまことに険しい。それは精神障害者を解放するための科学である精神医学がまだ発展の途上にある若い学問であることの他に、精神障害者のための処遇がわが国では著しく遅れており、その前進をはばむ壁が厚く固いためである。本書に書かれたことはこのようなわが国の精神科医療の現状を理解する上でいまでもその役割をはたすことができるだろう。

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