完訳ロビンソン・クルーソー中央公論新社, 2007 - 341 pages ロビンソン・クルーソーは、「絶海の孤島」に漂着し、すべての社会的脈絡から切り離されたきびしい環境の中で、サーヴァイヴァルの技術を開拓し、近代的な経済人のエートス(倫理的規範)を発揮しながらたくましく生きた、と言われる。しかしそうだろうか。ロビンソン・クルーソーははたして「絶海の孤島」に生きたのだろうか。この訳書は、詳細な解説とともに、18世紀当時、4つの大陸の相関関係のうちに成立しつつあった大西洋世界の脈絡の中においてこそ、この作品の本質とデフォーの真意が理解されることを示そうとする。 |