奇跡集

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集英社, 2022 - 256 pages
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同じ電車の同じ車両に、たまたま乗り合わせた見しらぬ男女たちがつなぐ、幸せのふしぎスイッチ。

第一話「青戸条哉(あおと・じょうや)の奇跡竜を放つ」ーー満員の朝の快速電車。ぼくは過去最凶の腹痛に耐えていた。もうダメだと思い、その場にしゃがもうとした瞬間、隣に立つ同い年くらいの女性が、ぼくよりもわずかに早く、しゃがみこんだ。

第二話「大野柑奈(おおの・かんな)の奇跡情を放つ」ーー大学時代、わたしは小劇団にのめり込んだが、結局就活をして、食品会社へ。通勤途中、具合が悪くて社内で声をかけた女性の様子が気になり、駅を一つ戻ってホームに降りると、そこには意外な先客がーー。

第三話「東原達人(ひがしはら・たつひと)の奇跡銃を放つ」ーー満員電車での尾行中。住宅街の駅で降りた捜査対象者に気づかれぬよう後を追っていると、赤ん坊を抱いた裸足の女性が、すごいスピードで無表情のまま目の前を通り過ぎていった。

第四話「赤沢道香(あかざわ・みちか)の奇跡今日を放つ」ーー五年ぶりのデート。満員電車で、男の人の手が、女性のお尻のあたりで動いているのを見てしまった。女性は、まったく別の男性に「触りましたよね?」と詰め寄った。どうする、わたし?

第五話「小見太平(おみ・たいへい)の奇跡ニューを放つ」ーーカップ麺会社の宣伝部で、おれは失敗した。起用した女性大食いユーチューバーが炎上した。代替案を上司に提案しなければならないが、電車が止まってしまう。「イッキュウちゃんの動画。見た?」という会話が聞こえたのはその時だ。

第六話「西村琴子(にしむら・ことこ)の奇跡業を放つ」ーー満員電車で、彼の浮気相手をひそかに凝視する。彼はわたしの8歳年下で、その女はわたしの16歳下。有休をとり、女の乗った通勤電車にわたしも乗った。だが、わたしは決してストーカーではない。

第七話「黒瀬悦生(くろせ・えつお)の奇跡空を放つ」ーーななめ掛けしたボディバッグに拳銃を入れた俺は、とっくに尾行されていることに気がついていた。目的地の一つ前の駅で降りて住宅街を歩いていると、声をかけてきたのは、尾行していた刑事ではなかった。

小さいけれど確かに人生を左右する(かもしれない)7つのミラクルを描く、連作短編小説!

【著者略歴】
小野寺史宜(おのでら・ふみのり)
1968年、千葉県生まれ。法政大学文学部卒業。2006年に短篇「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し、初の単行本を刊行。『ひと』で19年本屋大賞2位。主な著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひりつく夜の音』『夜の側に立つ』『ライフ』『縁』『まち』『今日も町の隅で』『食っちゃ寝て書いて』『タクジョ!』『今夜』『天使と悪魔のシネマ』『片見里荒川コネクション』『とにもかくにもごはん』『ミニシアターの六人』『いえ』など。

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