ウトロここで生き、ここで死ぬ

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三一書房, 2022 - Reference - 349 pages
マイノリティが「お上品」に生きられるほど、ウトロを取り巻く日本社会は優しくない。
彼彼女らの「闘い」は、この社会が不正で成り立っている事実、欺瞞を暴いてもいた......

私が地区に通い始めて20年が過ぎた。
一世は全員鬼籍に入った。多くの二世ともお別れした。ウトロの歴史を目撃してきた飯場跡や集会所、南端のフェンスなど、地区内にあった、
あるいは今も存在する幾つかの物言わぬ「証人たち」を訪ね、そこにまつわる人々の記憶を掘り起こし、彼彼女らの記録として残したい。
それは、ウトロの人々から少なからぬ時間と言葉を頂戴した者の一人としての義務でもある......

かつて地区の玄関に立てかけられた看板の文言を思い出す。打つ手がなくなった2002年、それでも闘い抜くと決めた団結集会で採択された集会宣言である。
住民たちの記憶と願いを撚り合わせ、今後の闘いの肝を記した宣言「オモニの歌」は、この言葉で結ばれた――

「われら、住んでたたかう」。

止めどなく後退していくこの世界で、様々な位相で、とどまって、闘い抜いた者たち。本著はその記録である。

About the author (2022)

中村一成(なかむら・いるそん) ジャーナリスト。1969年生まれ。毎日新聞記者を経て2011年からフリー。 在日朝鮮人や移住者、難民を取り巻く問題や、死刑が主なテーマ。映画評の執筆も続けている。 著書に『声を刻む在日無年金訴訟をめぐる人々』(インパクト出版会、2005年)、『ルポ京都朝鮮学校襲撃事件――に抗して』(岩波書店、2014年)、『ルポ思想としての朝鮮籍』(岩波書店、2017年)、『映画でみる移民/難民/レイシズム』(影書房、2019年)、『「共生」を求めて在日とともに歩んだ半世紀』(編著、田中宏著、解放出版社、2019年)など。

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