法隆寺: 世界最古の木造建築

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草思社, 2010 - Reference - 95 pages
名門宮大工で法隆寺の大工棟梁だった故・西岡氏と、古建築の第一人者故・宮上氏による、
世界最古の木造建築のすべてが解き明かされた名著。
ロングセラーの新装版!


法隆寺が世界の最古の木造建築であることはひろく知られていますが、
その価値はただ古いことにだけあるのではありません。
ほんとうの価値はむしろ、これらの建造物をとおして、古代日本人がもっていた
技術や知識や知恵をしることができることにあるのだと思います。

しかし、これまで、技術や知恵の具体的なあらわれである法隆寺建築の過程を
あきらかにした本はありませんでした。

これは、法隆寺の解体修理にあたった棟梁と、建築史家と、建築科の出である
イラストレーターの三人が協力して、法隆寺がどのようにしてたてられたかという
難しい問題を解き明かした本です。
この本をとおして、私たちは古代日本人の技術や知恵を想像以上に
すぐれたものであったことを知るでしょう。

About the author (2010)

西岡常一(にしおか・つねかず) 1908年奈良県に生まれる。1995年没。西岡家は、鎌倉時代にはじまる法隆寺四大工の一人、多聞棟梁家につながる宮大工の家柄。明治のはじめ祖父常吉氏の代に法隆寺大工棟梁を預かる。常一氏は幼少より祖父常吉氏から宮大工の伝統技術を教え込まれ、1934年に法隆寺棟梁となる。20年間にわたった法隆寺昭和大修理で、古代の工人の技量の深さ、工法の巧みさに驚嘆したという。法隆寺金堂、法隆寺三重塔、薬師寺金堂、薬師寺西塔などの復興の棟梁として手腕をふるった。文化財保存技術者、文化功労者、斑鳩町名誉町民。著書に『木のいのち木のこころ(天)』(草思社)『蘇る薬師寺西塔』(共著、草思社)『木に学べ』(小学館)『法隆寺を支えた木』(共著、日本放送出版協会)『斑鳩の匠・宮大工三代』(共著、徳間書店)ほか。 宮上茂隆(みやがみ・しげたか) 昭和十五年(一九四〇年)、華道の古流崇顕流の家元・宮上武雄の次男として東京に生まれる。東京大学工学部建築学科卒業。同大大学院、助手を経て、『薬師寺伽藍之研究』で工学博士号を取得。昭和五十五年、竹林舎建築研究所を開設。日本建築の歴史研究と復原設計に専念した。日本建築の歴史研究の分野では、古代寺院建築、中世住宅建築、近世城郭建築、数寄屋と茶室など、幅が広い。建築設計では、富山県高岡市の国泰寺三重塔、静岡県掛川市の掛川城天守、愛媛県大洲市の大洲城天守などがあり、大洲城天守の完成を見ることなく平成十年に他界した。享年五十八。 穂積和夫(ほづみ・かずお) 1930年東京生まれ。東北大学工学部建築学科卒業。長沢節氏に師事して絵を学ぶ。設計事務所を経てイラストレーターに。1950年代からいち早くアメリカのアイビーファッションを装いやイラストに取り入れ、日本のアイビー文化を創り上げた一人。ファッションやカーイラスト、建築や歴史など手がけたイラストは多岐にわたる。著書に『絵本アイビーボーイ図鑑』(万来社)『日本の建築と街並みを描く』(彰国社)『絵で見る明治の東京』、シリーズ『日本人はどのように建造物をつくってきたか』全10巻・共著(いずれも草思社)など。

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