「させていただく」大研究: 「させていただく」がなかったら敬語は崩壊する!?

Front Cover
椎名美智, 滝浦真人
くろしお出版, 2022 - Literary Collections - 327 pages
なぜ皆、こんなにも「させていただいて」いるのか? 敬意不足が気になってつい使ってしまう現代人に贈る論文集。時空を旅し、辞書から漫才、食べログ、歌詞など探索し、「一人勝ち」の原動力を考えながらその正体に迫る。

■「はじめに」より
授受動詞には「やる・あげる・さしあげる」「もらう・いただく」「くれる・くださる」という3系列7動詞があり、本動詞としてだけでなく、他の動詞の後ろにつく補助動詞としても使われている。本書は、補助動詞として使われている授受動詞、特に「させていただく」に焦点を当てて、さまざまな分野の言語学者が各自の専門の視点から分析した論考を集めた論文集である。
(中略)
本書の特徴は、普段なら同じプラットホームで議論を交わすことのない異なる専門領域の言語学者たちが集結し、もっぱらモラウ系ベネファクティブ「させていただく」について論じた点にある。これほどバラエティに富んだ専門分野の研究者が一堂に会し、同一テーマを論じたことがこれまであっただろうか。執筆者の方々には、「させていただく」研究の決定版を目指した『「させていただく」大研究(仮)』への執筆を依頼した。今、その(仮)を取って、本書のタイトルとして掲げたい。(ただし、「させていただく」があまり使われていない時代や分野の分析を専門とする方には、「ていただく」を論じてもらっている。)

■編者・執筆者
編者
椎名美智(しいなみち)
お茶の水女子大学大学院博士課程満期退学、ランカスター大学大学院博士課程修了(Ph.D)、放送大学大学院博士課程修了(博士(学術))
現在、法政大学文学部教授
専門は歴史語用論、コミュニケーション論

滝浦真人(たきうらまさと)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退、博士(文学)(北海道大学)
現在、放送大学教授
専門は言語学、語用論、イン/ポライトネス論

執筆者
飯間浩明(いいまひろあき) 国語辞典編纂者、『三省堂国語辞典』編集委員
井上史雄(いのうえふみお) 東京外国語大学・明海大学名誉教授
荻野千砂子(おぎのちさこ) 福岡教育大学教育学部准教授
日高水穂(ひだかみずほ) 関西大学文学部教授
塩田雄大(しおだたけひろ) NHK放送文化研究所主任研究員
山田敏弘(やまだとしひろ) 岐阜大学教育学部教授

About the author (2022)

椎名美智(しいなみち) お茶の水女子大学大学院博士課程満期退学、ランカスター大学大学院博士課程修了(Ph.D)、放送大学大学院博士課程修了(博士(学術)) 現在、法政大学文学部教授専門は歴史語用論、コミュニケーション論主な著書: 『歴史語用論入門―過去のコミュニケーションを復元する―』(共編著)大修館書店、2011年 『「させていただく」の語用論―人はなぜ使いたくなるのか―』ひつじ書房、2021年 『「させていただく」の使い方―日本語と敬語のゆくえ―』角川新書、2022年など 滝浦真人(たきうらまさと) 東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退、博士(文学)(北海道大学) 現在、放送大学教授専門は言語学、語用論、イン/ポライトネス論主な著書: 『日本の敬語論―ポライトネス理論からの再検討―』大修館書店、2005年 『ポライトネス入門』研究社、2008年 『日本語は親しさを伝えられるか』岩波書店、2013年など

Bibliographic information